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5.統失息子の母のつぶやき

私の夢ってなんだろう?

考えたことなかった。

なんとなく、子どもの頃から普通に過ごしていくのだろうと思っていた。

幼い頃「あなたの夢は?」と聞かれても、たいして浮かばなかった。

小学校高学年の頃には、ブラジルに行ってみたいな〜と思ったこともあった。確か、地球儀を見て日本の反対側だったからだと思う。山に囲まれた田舎育ちの私には、海外は憧れの地だったし、遠くへ行きたかったのだと思う。

中学生の頃には、アフリカに行って難民のために働きたいと思った。その頃はテレビでアフリカ難民が取り上げられている映像がよく流れていた。あまりの別世界で衝撃を受けたのだと思う。

マザーテレサも尊敬していた。私はアフリカ難民の為に働きたいと思いながらも、日本での結婚や出産を捨てられないと思ったから。それらを捨ててインドの修道院へ行くなど、私には到底できないことで、それを行ったマザーテレサは心底すごいなと思った。今は、宗教的な考え方の違いもあるのだと少しは分かるけれど、それでも自分には絶対に出来ないなと思うことをする人に対しては「すごいなぁ~」という気持ちとワクワクが湧き上がってくる。

高校生になり、アフリカ難民のために多少なりとも何か出来ないものかと考えていた時に、青年海外協力隊を知った。私は英語がなにより苦手だったから、少なくとも英検2級くらいはとらないとダメらしいよ、などの友達の話を聞いて、じゃあ英語を頑張ろう!!ともならず。なりたい夢と言っても、努力することもなく。

看護師という道を選んだのは、当時祖母が入院していた病院で、祖母の痰の吸引を嫌な顔ひとつせずに「辛いけどね〜これやらないと詰まっちゃうからね」とケアをしてくれた看護師さんを見たのがあったからかもしれない。よその人の痰の吸引なんて、あんな汚いことを笑顔でやってのける看護師さんを「すごいな~、アフリカ行かなくてもこんな近いところにもすごい人いる!」そう思った。

看護師になれば、アフリカ難民やフィリピンのスモーキーマウンテンでゴミを拾う子どもたちに、少しは近づけるのではないかとも思った。

結局私は看護師になり、青年海外協力隊の試験を受けることも無く、結婚し出産し子どもを育てて今に至る。

友人たちからは、幸せそうだとよく言われた。

けれど、それは隣の芝生なのだ。

しばらく専業主婦をしながら子育てをしていたけれどこの10年は仕事もした。

そして息子は統合失調症になった。

それからの私は、自分のことなど全て後回し。何もかもが息子が良くなるためにどうするかということにエネルギーが使われた。

このままずっと永遠にそれが続くのだと覚悟もした。

家族会に入り、色んな情報を得て行く中で、息子の病気についても学び考えた。

なんて大変な病気なんだろう!こんな大変な病気に100人に1人がなるというのに、私の周りには全くいない!そんなことってあるだろうか??みんな黙っているに違いない。

私も最初は誰にも話せなかった。けれど少しずつ話せるようになり、今では職場の人全員に話している。もちろん、そこにたどり着くのに5年もかかってしまった。。。😅

家族会で、周りに話せず孤立したり孤独になる家族は多いと思った。これからどうなってしまうのかと不安にもなる。

この孤立・孤独・不安はいけない!全ての精神疾患はほとんど、このどれかが当てはまる。

前回リカバリーフォーラムに出演させてもらったのをきっかけに私は考えた。

私がみんなに伝えたいことってなんだろう???家族会☆PureLight☆への入会者を増やしたいのではない。そう、子どもが発症し、孤独となる母親を何とかしなければ!!

1人ではないのだと伝えなければ!ブログを書き始めたのだってその気持ちがあったから。

そうだ!!もしかして、病気への偏見が無くなれば、家族は孤立しないんじゃないか??

偏見のない病気なら、家族は誰にでも子どもの大変な様子を話せるし、そしたら孤独にならない。

そう!誰もが「うちの子、統失なの」と誰にでも言えれば良いのだ。

今の私の夢は、うちの子、統失なんだよと言えるようにすること。そしたらもう近所でも友人でも誰にでも話せるわけだから、孤立しない。

今の私の夢は、うちの子統失なんだよ と言える時代にすること。

現実はものすごく大変かもしれないけれど、そうなれば、もう孤独にはならない。

50を過ぎて、新しい夢ができた!

コメント

  1. きのこ より:

    森の民さんこんばんは。

    私の周りにも統失という人は一人も見当たりません。
    そんな中、親子で同世代でお互い夫が単身赴任の森の民さんに親近感を覚えています。
    こちらのブログに辿り着いて本当に良かったです。
    お陰さまで息子は大阪オフ会にも参加させていただいて、Gさんに随分親切にしてもらった、と喜んでいました。(飲みすぎで戻してしまい、途中退席しましたが)

    実は私、医療事務を辞めて自宅で電話相談のような仕事をしています。
    そこには誰にも話せない内容を打ち明ける人ばかりで、中には「職場の人に臭いと思われてる」とか「両隣の部屋から監視されてる」というような、私達にはピン!とくる相談内容もありまして…。
    でも私は医者ではなく診断は出来ませんから当たり障りのないように「内臓が悪いと臭ったり、疲れが溜まると過敏になったりだから病院に行って診てもらったら良くなるよ」と医療機関に繋げます。

    色んなサポートの仕方があると思うのですよね。
    私達、統失の家族を持ったからこそのサポート、一生続けていけたら、と思っています。

    いつもブログに励まされています!!
    ありがとうございます。

    • 森の民 より:

      きのこさん、

      元気の出るコメントありがとうございます。

      息子さんは、大阪オフ会に参加され良いつながりが出来たのですね。良かったです!
      Gさん、、、誰だろ(笑)

      きのこさんは素晴らしいお仕事をされているんですね。
      お子さんが病気になった事で、相談する方の悩みの元になるものが理解できるから、きのこさんにつながれた人は幸せですね。かなりメンタル的にキツいお仕事だなと思いますが、一人でも多くの方が落ち着かれますよう頑張ってくださいね。

      私は昔と比べ、かなり記憶力や集中力、体力も無くなってきたなと思いますが、今度は夢を諦めずに進みたいと思います。

      コメントありがとうございました。

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