子どもが統合失調症やうつ病などの精神疾患になってしまった母の日々のブログです

09 陰性症状を振り返る

寝てばかりの日々に、決して、怠けているからとか、やる気がないからとか、思わないようにしたい。身体も頭も、何もかもが動かないのだと思う。動かなければならないことはわかってるけれど、出来ない辛さ。

トライアスロンをやり切った直後の選手に、「ほら!怠けてないで動きなさい!」とは言わない。へとへとで動けないことがわかっているから。けれど、この病気は目には見えないから、疲れや辛さがどれほどのものか推し量るしかない。

大地は、トライアスロンを終えたばかりの選手と同じ。疲れてへとへとなのだ。だから休まなければならない。「大丈夫だよ。きっと良くなる。また動けるようになる。」そう、自分に言い聞かせながら過ごしてきた。

この陰性症状かと思われる時期を振り返ってみると・・・

何かやりたいことがないかと、たま~に、1~2か月に一度くらい聞いてみたけど、「ない」「別に」と言われたときに、「まあさ、ゴロゴロ過ごしていると、そのうちやりたいことが出てくるらしいよ。それまでは寝て過ごせ~」のように言った。「寝て過ごせ~」「お!えらいね、寝てて」「ココア(飼い犬)みたいに寝てな~」とかは、何回も何回も言ったな~。

最初に、ベッドに座って遊戯王カードをパラパラと触っていたのは、それをやりたいという気持ちの芽生えだったのかもしれない。やがて、友だちと遊戯王カードをするようになるのだけれど、「意欲」とか「やりたいこと」というのは、勉強や仕事ではなくて、こういった些細なところからスタートするのかもしれない。

毎晩毎晩、友だちとゲームをしに出かけ、家の中では寝ているかゲームをしているか動画を見ているか…。この時期は、長かったな~。それでも、友だちのお宅に迷惑でないのならOKと止めなかったし、家の中でゴロゴロしていても、どこかに出かけてしまうことを考えたらこっちのが安心。怠けてるなんて、思いもしなかった。

そして、やっと出てきたかと思われた「やりたいこと」は、警察官試験を受けようと思うというものだった。
妄想と関係していた警察官試験の勉強を始めた時、主治医やNEAR(認知機能リハビリテーション)をしたセンター病院の有名な先生も、「おお~、いいじゃない!」と否定しなかった。私が、「(警察官には)なれないんじゃないかと思うし、妄想が関係している気がして…」と尋ねた時も、「まあね、おかあさん、意欲が出てきたのはいいことだから」と、毎回「どう?がんばってる?」と応援しているようだった。だから私も、受けてほしくなかったけれど、「がんばりな~!」と言う事にした。やるだけやって、ダメならまたその時考えようと思った。

大地の、やりたいことに向かう意欲は、少しづつ少しづつ育てられていったんだと思う。
陰性症状の間は、良くなることがちっともわからない。毎日毎日同じことの繰り返しだから。何か、ちょっと良くなった気がしても、またすぐに戻ってしまう。一緒に暮らしていると、日々の進歩なんてわからない。
けれど、こうして振り返ってみると、ああ、良くなっていったんだとしみじみとわかる。

それでも陰性症状真っ只中の時は、「もしもホントに一生寝て過ごしたらどうしよう。。。」とかも、思った。

何度も不安になりながら、「大丈夫!きっと良くなる!」と信じる反面、そのうち「もしも、一生寝てばかりで、家からほとんど出ることなく過ごすことになったとしても、それでもいいかな。」とも思うようになった。

もしもこの陰性症状がずっと続いたら・・・私の老後の面倒は大地に見てもらえる。私が年老いて病気になったら、近くの病院くらいには連れて行ってくれるかもしれない。倒れたら、救急車くらいは呼んでくれるかもしれない。社会に出られなくても、私におかゆを作るくらいはできるようになるもしれないしね。今は、健康であっても独身を通す人も多いし。

私が死んだらどうするか?そしたらその時は、病院か障がい者施設か、行政になんとかしてもらおう。その時はその時。私が健康で長生きすればいいんだし。そしたら私も大地もきっとそんなに困らない。私が100才まで生きたら、大地もそこそこの高齢者。そのくらいの年齢になったら、施設に入る人も普通にいる。

もしも大地が統合失調症にならなかったら、高校を卒業すると同時に家を出たと思う。そしてめったに帰ってこなかったんじゃないかと思う。そのうち結婚でもしちゃったら、お嫁さんと自分の家族が一番になる。それでいいんだけど、高齢になった私は、放ったらかしになっていたかも。。。

けれど病気になったから、もしもこの寝てばかりの生活が続いたら、ずっとずっとず~っと私と暮らすことになる。私の老後は安泰じゃない!?

とはいえそこはやっぱり母として、今できる最善の事をしたいと思っていたから、主治医に言われた、「そのうちやりたいことが出てくる」という言葉にすがって、のんびり構えるようにしていたようにも思う。

そんなわけでね、陰性症状の酷いとき、「大丈夫、そのうち意欲が出る」と自分に言い聞かせると同時に、「大丈夫、別に意欲が出なくたって」とも思ってた。

私は、大地と暮らす未来に「自分の幸せ」を見出していたよ。私の老後を大地が見てくれるという幸せ。大地にとってそれは幸せではないかもしれないけど、よく考えたら、私はすごく幸せだよね。(ゴメン大地)

 

2014年3月に発症した大地は、丸3年寝続けて、それから少しづつ少しづつ、起きて活動する時間が増えていった。

そして発症から丸4年と少し経った2018年6月現在、今のところは、バイトも大学も楽しんでいる。

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