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08 アルバイト その1

目標にしていた警察官採用試験が終わった。

思えば、認知機能リハビリテーション(NEAR)をやろうという気持ちになったのも、警察官試験の勉強がまったくはかどらなかったからだし(クオカードの事は大きかったけどね)、リハビリが終わってからも、大地なりに勉強に向き合ったようだ。やりたいと思う事があれば、電車に乗ったりとかも出来るのだという事がわかった。

採用試験後、大地は以前のような生活に戻っていたので、私は、今度こそ精神科デイへ!と思っていた。

「大地、毎日寝てばっかりじゃつまらなくない? 同じくらいの子と、ゲームしたり勉強したり、作業をしたり、そういう場所があるんだよ。今より少し、充実した生活になるかもよ。」

すると大地は、

「今オレ、毎日忙しいんだけど。」

「なんで忙しいの?」

「ゲームしたり、寝たり、ココア(飼い犬)と遊んだりー(o^^o)。あー!オレの今の充実した生活を続けさせてくれ〜。」

ニヤリと笑いながら言う大地。

というわけで、相変わらず大地はデイサービスとか作業所とか、そういった方向には興味がなく、その話をしようとするだけで「行かない!」と遮られてしまう。

大地は、バイトしようかな〜と、言ってはいたが、なかなか一歩が踏み出せない様でもあった。すると父親が「ぼちぼちアルバイト始めろ。何もしないで家にいたって仕方ないだろ」と。

大地は、「う~ん。。。」と聞いているのかいないのか、あいまいな返事をしていたが、翌日、「コンビニでバイトをしようと思う!」と言い出した。

そして、まだ二次試験の結果が届いていなかった11月。大地はコンビニのアルバイトを探し始めた。

なぜコンビニなのか…。

高校生の頃、コンビニで初めてのバイトをしようとし、面接にも行ったのだが、父親に反対された事があるのだ。結局、父親の言う通り、せっかく採用されたコンビニバイトを断り、「もうバイトはやらない!」となった経緯があった。

病気になり、父親も大地のバイト先の事までうるさく言わなくなっていた。

大地は自宅近くのコンビニを自転車で回り、アルバイト募集の張り紙を見つけると、さっそく履歴書を書いたり、電話で面接の予約をしたりと動き、すぐにアルバイトを始めた。

アルバイトを始めるにあたり、私から大地にひとつだけ条件を出した。

「深夜から朝方にかけてのバイトだけはしてはいけないよ。寝る時間が大事だからね。」

大地はその約束だけは守り、

「平日は3日間で、9:00~13:00にした。」

「いいじゃん、初めてのアルバイトだし、ちょうどいいね。」と言うと、

「あと土日は8時間働く。9:00~17:00」

???

いきなり週5日働くの?大丈夫?

「おー!」といつもの返事をする大地

ちょうど、1年半飲み続けていたヒルナミンが減薬され、なくなっていた。

この活動的な様子は減薬の影響だろうか?

きっかけはどうであれ、アルバイトを始めようとする意欲が出始めたのは良い事だ。

けれど、大丈夫だろうか…。

数か月前までの事を考えると、大地がアルバイトをするようになるなんて、信じられない話だったが、1日の大半を寝て過ごしていた大地が、週に5日もバイト!

まだまだ目を離せないなと感じた。

09 アルバイト その2


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コメント

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